ベルガモット ── 島香房の畑から精油、練り香水まで

島香房が自社栽培したベルガモットの果皮から抽出した精油の特徴と抽出法、一貫生産ならではの品質管理、そして練り香水バームなどの使い方をお伝えします。

イタリア原産柑橘の甘さとほろ苦さ、島の香りを手元に

肌寒さを感じる季節、緑色から黄色に移り変わるグラデーションが鮮やかに。どこか甘くて少しほろ苦い香りがしてきます。柑橘の香りのなかでも、ベルガモットはその「ほろ苦さ」と「柔らかな甘さ」が同居する、少しだけ大人の香りです。今日は、島香房が自社で育て、抽出し、最後は化粧品に仕立ててお届けしているベルガモットについて、畑のこと、抽出のこと、安全性、そしておすすめの楽しみ方まで、お話しします。

■ 自社栽培だからこそ選べるタイミング

島香房では、ベルガモットを含む主要な柑橘を自社で栽培しています。土づくり、樹の管理、収穫時期の判断まで、自分たちの手で行うことは香りの質にとって何より大切な仕事です。

外部からの仕入れと異なり、畑の状態やその年の気候を知った上で「一番香りが立つ瞬間」を逃さず収穫できることが、自社栽培の最大の利点です。果皮の厚み、油胞の詰まり具合、皮の艶――こうした細かな“顔つき”を見て収穫日を選びます。

■ 果皮の表情がそのまま香りになる

ベルガモットは果皮に精油を多く含んでいます。皮の状態がそのまま香りのトーンを決めるため、収穫後はできるだけ早く処理します。時間が経つほどに揮発成分は変化するため、速やかな処理が透明感のあるトップノートを残す鍵です。

■ 島香房のベルガモット精油(自社製)につい

当社では、自社畑のベルガモット果皮から抽出した自社製ベルガモット精油を小ロットで瓶詰めしています。原料の選別から抽出、仕上げ、検品、ラベリングまで一貫して自社で行うため、「その年、その畑」ならではの個性をそのままお届けできます。詳しい成分や抽出法は商品ページをご覧ください。
自社ベルガモット精油

■ 抽出法の使い分け:低温圧搾法と水蒸気蒸留法

ベルガモットは一般的に低温圧搾法(コールドプレス)での抽出が多く、シャープでフレッシュなトップノートが得られます。一方、水蒸気蒸留法ではよりやわらかな表情の香りや同時に抽出される芳香蒸留水(フローラルウォーター)が得られるため、用途に合わせて使い分けています。島香房では化粧品に適した水蒸気蒸留法を採用しています。

■ 水蒸気蒸留法のメリット

低温圧搾法抽出のベルガモットには、一般的に「光毒性(フォトトキシシティ)」を引き起こすフロクマリン類(ベルガプテンなど)を含むとされています。しかし——

島香房のベルガモット精油は、水蒸気蒸留法で抽出しているため、光毒性の原因となるフロクマリン類を一切含みません。

抽出後、外部機関による香気成分分析を行い、光毒性成分が検出されていないことを確認しています。

■ 日常での使い方:フェイスケアから練り香水まで

ベルガモットは晴れやかな気分を呼び込みつつ、どこか落ち着きをもたらす香り。島香房では次のような形で提案しています。

  • フェイスオイルのアクセント:ベースオイルに少量ブレンドして、朝のケアに爽やかな余韻を。当社精油は水蒸気蒸留法のため光毒性成分は含みませんが、まずは一滴からお試しください。
  • フローラルウォーター(芳香蒸留水):やわらかな香りのためリラックスタイムや就寝時に、枕カバーやお部屋の空間にシュッと一吹き。一日の疲れを癒してください。
  • 練り香水(バーム):指先で少量を取ってこめかみや手首にのばすだけで、密やかに香りが続きます。当社のベルガモット配合バームは、練り香水として気軽に持ち歩けるように配合を調整しています。→ ベルガモット配合バーム(練り香水)

■ 家で香りを確かめる小さな実験

ベルガモットの香りの層を体験するには、紙片や香りのテスターで時間を追って嗅ぐのが分かりやすいです。最初の数秒でくる鮮烈な柑橘感(トップ)、数分後に広がるラベンダーのような甘いフローラルのニュアンス(ミドル)、さらに時間が経って残る穏やかな余韻(ベース)——この時間差が精油の個性を表します。

■ 一貫生産だからできる品質管理

島香房は原料の栽培から精油抽出、さらに化粧品の製造まで自社で行う一貫生産体制を取っています。これにより、原料の入手経路や処理のタイミング、抽出条件、最終処方まで一貫して品質を管理でき、お客様に安定した香り体験を提供できます。小さな工房だからこそできる柔軟さで、季節ごとの表情をそのまま製品へ落とし込んでいます。

■ おわりに:ベルガモットの小さな揺らぎを暮らしに

ベルガモットは、晴れやかな朝にも、静かな夕べにも似合う懐の深い香りです。島香房の自社栽培・自社抽出の精油や、練り香水のバームを通じて、その微かな揺らぎを日々の生活に取り入れていただければ幸いです。



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