島香房の「商品開発」の考え方④ — 商品開発の前に整理する自分のポジショニング

商品開発の前に考えたい「自分の立ち位置」と「何に貢献したいか」。島香房が考える2軸のポジショニングと、メインターゲット、事業としての立ち位置を整理します。

島香房では、小ロットからODM/OEMのご相談をお受けしています。
化粧品や精油、石鹸などの商品開発がはじめての方から、すでに事業として取り組んでいる方まで、ご相談の背景はさまざまです。

ただ、実際にお話を伺っていると、商品そのものの話に入る前に、もっと手前で整理しておいたほうがよいことがあると感じます。
それが、**「自分は何をしたいのか」「どこに重心を置いているのか」**という、ポジショニングの整理です。

商品開発というと、成分や処方、ロット、価格、パッケージ、販路といった話に目が向きがちです。
もちろんそれらはとても大切です。けれど、その前に「自分はどんな立ち位置でこの事業をやりたいのか」が曖昧なままだと、せっかくの商品も軸がぼやけてしまいます。

今回は、島香房が商品開発の前段階で大切だと考えている「自分のポジショニング」について、少し整理してみたいと思います。

商品開発の前にある、もっと手前の問い

商品を作ろうとするとき、多くの方がまず考えるのは、
「何を作るか」
「どんな原料を使うか」
「どんな商品名にするか」
といったことです。

けれど、その前に考えたいのが、
そもそも何をしたいのか
なぜこの商品を作るのか
という問いです。

この問いが曖昧なままだと、商品に入れるべき要素が増えすぎてしまいます。
自然素材を活かしたい、地域にも貢献したい、売上もしっかり上げたい、でも趣味としても楽しみたい。
どれも大切な気持ちですが、すべてを同じ重さで抱えたまま商品にすると、かえって誰にも強く届かないことがあります。

島香房では、こうした迷いを整理するために、2軸のマトリックスで考えることを提案しています。

ひとつ目の軸は、「商売志向」か「趣味・ライフワーク志向」か

まずひとつ目の軸は、
商売志向 ⇄ 趣味・ライフワーク志向
です。

ここでいう商売志向とは、単にガツガツしているという意味ではありません。
ビジネスを通じて、誰にどう貢献するかを考えられる思考のことです。
商品を通して事業として発展させていく、という姿勢です。

商売志向の方は、ビジネスとしての解像度が高く、何を売るかだけでなく、誰に、どんなチャネルで、どう届けるかを考えるのが当たり前になっています。
そのため、同じ最低ロット100個でも、初回で反応がよければ次は300個、500個と増えていくことも珍しくありません。
売れる仕組みができれば、自然と次の発注につながっていく。
そういう世界観です。

一方で、趣味・ライフワーク志向の方は、必ずしも売上の拡大を最優先にはしません。
アロマやハーブ、植物のある暮らしが好きで、その延長で石鹸教室やアロマ教室をしていたり、イベントのときに少量の商品を販売したりします。
自分の好きなものを、好きな人たちと分かち合う。
その関係性そのものに価値があるのです。

このタイプの方は、OEMで100個作ろうとするときに、「本当に売れるのだろうか」という不安を持ちやすい傾向があります。
それは当然です。
売ること自体が目的ではなく、あくまで活動の一部として商品があるからです。
教室を丁寧に続けていくことも、立派な生き方のひとつです。

つまりこの軸は、優劣ではありません。
市場に広く届ける貢献をしたいのか
それとも
関係性の中で深く届ける貢献をしたいのか
その違いを見ています。

もうひとつの軸は、「事業成果志向」か「社会・地域志向」か

次の軸は、
事業成果志向 ⇄ 社会・地域志向
です。

ここも、どちらが良い悪いではありません。
大切なのは、意思決定のときに何を先に置くかです。

事業成果志向の方は、まず収益性、継続性、雇用、再投資を成立させることを重視します。
商品が売れて、利益が出て、事業が回り、次の仕掛けが打てる。
その循環を作ることが、まず大事だと考えます。

一方で、社会・地域志向を重視する方は、地域活性化、耕作放棄地対策、森林保全、未利用資源の活用などを強く意識します。
売上はもちろん必要ですが、それ以上に「この事業が地域や環境に何を返せるか」が重要です。

ここで大切なのは、自然や地域、人とのつながりは、どのタイプの方にも共通して存在しているということです。
アロマやナチュラルコスメの世界は、そもそも自然資源が背景にあります。
原料も、香りも、作り手の思いも、すでに社会性や地域性を内包しています。

だからこそ、この世界は軸がぼやけやすいのです。
どの立場の人も「自然を大事にしている」「地域のことを考えている」と言えてしまう。
それ自体はもちろん素晴らしいことです。
ただ、商品開発では、その中で何を優先するのかを決めることが重要になります。

「貢献しているか」ではなく、「どう貢献するか」

この考え方を整理すると、かなり見えやすくなります。

たとえば、自分が紹介する精油の背景が柑橘畑やハーブ園、森林からの林産物だったりして、その生産者や地域のためになることを大切にしている人がいます。
こうした方は、地域や生産者に貢献すること自体が活動の目的です。
商品はその思いを届ける手段です。

一方で、商品に「地域を応援したい」という要素を織り込みながら、あくまで商品の魅力や市場性を中心に設計している人もいます。
この場合は、社会性は商品の価値の一部として組み込まれています。
どちらも正しいのですが、貢献の手段と訴求する対象が異なります。

さらに、趣味として完全に切り分ける人もいます。
「趣味は趣味」として、精油もコスメも自分や周囲が楽しむためのものとして扱う。
これはこれでとてもわかりやすい立場です。
ただ、島香房が今整理したいのは、商品として世の中に出していく前提の領域です。

だからこそ、この2軸のマトリックスは、
「どれが正しいか」を決めるものではなく、
自分はどこに立っているのかを自覚するためのものさし
として使いたいと考えています。

島香房がまず貢献したい相手

島香房のポジショニングを考えるうえで、もうひとつ大切なのが、誰に貢献したいかです。

島香房がまず貢献したいと考えているのは、「香りで困っている人」、そして**「天然の香りを必要としている人」**です。
単に香りが好きな人ではなく、日々の暮らしの中で香りに助けられたい人。
そんな方にこそ、島香房の天然素材の香りや、産地や生産背景の見える商品を届けたいと考えています。

とくに一番多いお客様は、50~60代の女性です。
子育てがひと段落し、ようやく自分のために時間やお金を使えるようになってきた世代。
同時に、心身の変化を感じやすい時期でもあり、これまでとは違う「やさしさ」や「安心感」を求めるようになるタイミングでもあります。

そうした時期には、強い刺激や派手な訴求よりも、
生産背景が見えること
・天然成分であること
・日々の暮らしに無理なくなじむこと
が、選ばれる理由になっていきます。

島香房は、まさにその変化の入口にいる方たちに向けて、
“ただ香るだけではない”、
“背景まで含めて心地よい”
商品を届けたいと考えています。

商品開発の判断がしやすくなる、自分の位置

自分の位置が見えると、商品開発の判断がぐっとしやすくなります。

たとえば、商売志向が強く、事業成果も重視する方であれば、最初から販路や価格、ロット設計、次の増産まで見据えて組み立てるのが向いています。
一方で、趣味寄り、あるいはライフワーク寄りの方であれば、売上を急がず、教室やイベント、コミュニティの中で小さく始める設計のほうが自然です。

また、見た目はビジネスっぽくても、実際にはイベント販売中心で、ライフワークの一環として続けているケースもあります。
この場合、外から見ると商売志向に見えても、実際の販売チャネルや意思決定はかなり違います。
同じ商品を売っていても、前提が違えば、ビジネスパートナーとして組めるかどうかも変わってきます。

逆に、しっかり商売としてやっている人でも、地域や自然や人との関わりを大切にしている方はたくさんいます。
それは社会性を「訴求の一部」として持っているのであって、必ずしも社会活動そのものが目的ではありません。
この違いを整理しておくことで、お互いに無理のない提案ができるようになります。

島香房の立ち位置

では、島香房はどこにいるのか。
島香房は、**左上寄りの「専業・事業特化型」**を起点としながら、必要に応じて社会・地域志向も内包する立ち位置です。

つまり、基本は「商売としてしっかり成立させる」ことを大切にしています。
そのうえで、原料の背景や循環、地域との関係、自然とのつながりを商品にきちんと織り込んでいく。
そんな考え方です。

島香房は、単なる趣味の延長ではなく、商品として成立させることを大事にしています。
だから、まずは商売としてうまくいくこと、継続できること、顧客にきちんと届くことを重視しています。

一方で、原料の背景や地域との関係、循環や顔が見えるものづくりも大切にしています。
なので、完全に「事業成果だけ」に振り切っているわけでもありません。

そのため、島香房自身は
「事業成果を軸にしながら、社会・地域の価値を商品に翻訳する位置」
がいちばんしっくりきます。

自分の軸を研ぎ澄ますことが、周りを幸せにする

グラデーションは確かにあります。
商売も大事、自然も大事、人も大事、地域も大事。
そのすべてが重なり合っているのが、アロマやコスメの世界です。

それでもなお、やはり大切なのは、
自分の軸を研ぎ澄ますこと
だと島香房は考えています。

何を優先するのか。
何を商品に込めるのか。
誰に貢献したいのか。
どこで価値を届けたいのか。

その輪郭がはっきりすることで、商品は強くなります。
そして、強い商品は、作り手自身を助けるだけでなく、周囲の人にも伝わりやすくなります。
結果として、自分も、関わる人も、幸せになりやすいのです。

商品開発は、作ることから始まるのではなく、考えることから始まります。
その考える時間を一緒に整理することも、島香房の大切な役割だと思っています。

オリジナルの商品を作りたいけれど、まだ漠然としている。
何から考えればいいかわからない。
そんなときは、まずは自分のポジショニングを整理するところから始めてみてください。

その一歩が、商品開発の精度をぐっと高めてくれます。

まだ言葉になっていないアイデアや、ぼんやりした違和感の段階でも大丈夫です。
よろしければ、LINEからお気軽にご相談ください。






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